日本財団 図書館


 

383-1.gif

Fig.3 Schematic diagram of the extraordinary observation system

3.2 時刻校正
時刻校正は「TCP-2」を介して、1秒ごとに陸上より送られてくる時刻コマンドを受けて、1日に1回程度の頻度で行う。基幹部はデータ伝送中継器と接続されているため、時刻コマンドを受けた時点での陸上との遅れは一定しており、その遅れ分を加算して現在時刻とする。
一方、移動体は音響通信により基幹部の時刻を受け取り、校正を行うが基幹部からの伝送時間の遅れが誤差となる。音響による伝送時間は、媒体が海水であるため、その温度、塩分濃度などによって左右される。従って、単純に一定の伝送時間による遅れを時刻に加算する方式は成り立たない。この伝送時間の影響を極力減らすために以下の方式を採用する。
(1)移動体は時刻校正が必要となる時刻(移動体内部の時計による)で、基幹部へ現在時刻を要求すると共にこの時刻Aを記憶する。
(2)基幹部は移動体からの要求を受け取った時点での時刻aと、現在時刻bを送信する。
(3)移動体は、基幹部からの時刻を受け取った時刻Bと以前に記憶していた時刻A、基幹部から受けた時刻a,bから伝送時間tを下式で算出する。
t ={(B-A)-(b-a)}÷2
移動体は時刻bと伝送時間tおよびα、βから現在時刻Cを算出する。
C=b+t+α+β
ただし、α:既知の基幹部の(2)の処理時間、β:既知の移動体の(3)の処理時間とする。
3.3 異常診断・自己復帰
異常診断は基幹部、移動体各々が独自に実施するが診断アルゴリズムは同一である。以下にその内容を記す。
異常診断を可能とするため、装置のハードウェア構造は機能毎にブロック化され、このブロックの機能を確認できる構成とする。機能確認は、そのブロックがさらされる環境に対して正常な動作を行うかで評価される。これは、各ブロックが正常な動作環境にないときにその動作を評価して、誤診断を避けるためである。構成ブロックを大別すると、電気・電子回路・電源と音響用モデムの送受波器であることからその環境と評価対象は以下の通りとなる。
(1)電気・電子回路・電源環境:周囲温度、入力レべルおよび論理、出力負荷評価:出力レべルおよび論理
(2)音響送受波器(パワー、プリアンプ部を含む)
環境:周囲温度、深度、入力音圧
評価:入力音圧に対する出力電圧(受信用)入力電圧に対する出力音圧(送信用)

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION